「何のために医師になったのか。瀕死の患者を救うためだろう。目の前の患者に全力を尽くせ。」…
この言葉はER救命医・今明秀さんの言葉です。
名前:今明秀(こんあきひで)
生年月日:1958年11月13日(61歳)
職業:医師、八戸市立市民病院副院長、救命救急センター所長、臨床研修センター所長
出身:青森県
学歴:自治医科大学
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今明秀さんは、医療過疎地と言われていた青森にドクターヘリを導入し、救命救急医療の基礎を作り上げたことで知られている人物です。
1年間で実に24,000人あまりの救急患者を受け入れる「八戸ER」を創設し、日本で初めてとなる移動手術車も開発したのも今さんなのです。
救命救急医療と言われてもピンとこない方も多いかもしれません…
身近なところで言えば、映画化((2018年7月27日公開予定))も決まった山下智久さん主演のドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命」をご覧になっていた方も多いのではないでしょうか。
あの緊迫した手に汗握る現場の様子…
人の命の尊さを考えさせられたりと、とても心が動かされるドラマでした。
そんな現場でリアルに活躍されている今さんが出版された本「青森ドクターヘリ 劇的救命日記」は、彼の経歴を知らずして語れません。
今明秀さんは、自治医大を卒業し、一日も早く僻地・地域医療に貢献できるようになりたいと思っていたとき、研修2年目で忘れられないできごとを経験します。
暴漢に刺された患者が運ばれてきたときに、しぼんでしまった肺を再膨張させる胸腔ドレーンを入れたものの、ほかに何の処置もできず、患者が目の前で亡くなってしまいました。
経験をつんだ今なら100パーセント救える命なのに、救急救命医学がなかった当時は、著者も先輩医師も誰しもがどうしていいか分からなかったのです。
患者は、血圧低下とともに意識がなくなり、手術室の準備中に、目の前で亡くなってしまいました。
その後、自信を失い、悩みを抱えたまま2年間の臨床研修を終え、当時の三戸群倉石村(さんのへぐん くらいしむら)、現在の五戸町(ごのへちょう)の診療所に勤務します。
多くの医師は、陽のあたる大病院での出世や名声をめざすが、今明秀さんはちがう考えを持っていました。
がんの手術などの難しい技術を持つのは、一部の大学や専門病院の医師で十分。そして優れたがん治療をする病院に行く時間的余裕はある。一方で、突然の事故や事件で大けがをした患者や、脳卒中・心筋梗塞などで倒れた患者は一刻を争うのに、救急医療体制が整っている地域は少ない。
そのような考えで助かるはずの命を助けられるよう、地域の救急医療体制を担う医者を目指すことに決めます。
その後、救急救命医療を志した著者は川口市立医療センターに勤務します。
365日24時間オンコール状態で、次々と手術をこなしながら、著者は救急救命技術を習得し、2年たったときには若い医師を教える立場になります。
青森県に帰るとき、今明秀さんは「ドクターヘリ用にヘリポートだけは作っておいた」という八戸市民病院に赴任します。
日本全国で7機しかドクターヘリが飛んでいない時代でしたが、青森で救命救急をやるからには、ドクターヘリに関わりたかったのです。
著者の努力が実って、ドクターヘリの運行が開始されたのは、2009年3月のこと。
ドクターヘリの活躍はめざましいものでした。
救命率を上げるためには、1秒でも早く患者と医師が接触しなければなりません。
119番通報を受けたあと30分以内に医師の緊急処置がはじめられる範囲が、ドクターヘリ導入まえは半径20キロ以内だったが、導入後は50キロ以上と、一挙に倍以上に広がったのです。
平均すれば、119番通報からほぼ14分後には、医師が現場に到着、緊急処置が開始できる体制が整ったのです。
今明秀さんが救命救急センター所長をつとめる八戸市民病院は、訓練された救急救命医とドクターヘリを活用し、今日も劇的救命を次々と成功させています。
「できない言い訳」ではなく「できるための条件」をギリギリまで追求する熱き魂をこの本をもってぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
最後に今明秀さんが、出版された本「青森ドクターヘリ 劇的救命日記」の読者の感想をご紹介しておきます。
救急現場の臨場感溢れる様子が手に取るように伝わってきます。一人でも多くの命を助けたいとの情熱がひしひしと感じられ、ドクターヘリを青森県で立ち上げ、チームを熱く育て上げている姿が遺憾無く描かれています。
まるでテレビドラマERを見ているような感じで読みました。東日本大震災での八戸DMATの活躍は、当時ブログで読んでいて感動していたのですが、この本でもその一部が紹介され、また、当時は書かれていなかったことも追記されていてもう一度興味深く読みました。ブログを元にしているので、一人称の記述がやや鼻につくかも知れませんが、内容は間違いなくお勧めです。
ドラマ「コードブルー」で取り上げられていたドクターヘリ。この本は、たった一人で救命救急センターを立ち上げ、ドクターヘリ実現へ導いた医師のドキュメントです。救急の現場の壮絶さや、ドクターヘリのシステムを理解したい人におすすめします。
いかがでしたでしょうか。
このような心を持った医師が少しでも増えていったら、そして一人でも多くの命が救えたら…
それは素晴らしいことですね。
今後のさらなるご活躍を期待したいですね。
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