これまで数多くのホームドラマで母親役を演じ、晩年は「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)で活躍していたのが「山岡久乃」さんです。
1998年に「渡る世間は鬼ばかり」から姿を消したことから、橋田寿賀子さんや石井ふく子さんの渡鬼ファミリーとの確執とも伝えられましたが、4カ月後には胆管がんによる心不全で亡くなっていたのです。
名前:山岡久乃(やまおかひさの)
生年月日:1926年8月27日~1999年2月15日(享年72歳)
職業:女優、声優
出身:東京府東京市大森区馬込(現東京都大田区)
学歴:宝塚音楽舞踊学校(中退)
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「渡る世間は鬼ばかり」が始まったのは1990年…
当初、主演は山岡さんでした。
ところが、1998年10月1日に始まった第4シリーズから突然、主演が次女役の泉ピン子さんに代わったのです。
山岡さんは娘たちにプレゼントしてもらったニューヨーク旅行中に心筋梗塞を起こし、急死するという設定で遺影のみでの登場となりました。
視聴者からは「山岡が出ていなくて寂しい」、「どうなってるんだ」といった投書が新聞社などに多数寄せられたのです。
これに対し、TBSは総胆管結石症の手術とその際に発見された肝機能障害のため、山岡さん側から降板要請があったという異例の降板説明会を行いました。
説明では「山岡さん側から6月1日に送られてきた診断書を検討した結果、正式に出演は無理という判断に達しました。ああいう(急死の)形にしたことは山岡さんにも了解してもらっています」と説明したのです。
しかし、マスコミや視聴者はこの説明に納得しませんでした。
橋田さんが見舞いに行こうとしたら、山岡さんの事務所に断られたと発言したことなどから確執説が浮上し、橋田さんらへのバッシングも一時的に起こりかけたのです。
そんな中、沈黙を守っていた山岡さんが12月15日に所属事務所を通じて、胆管がんであることを公表しました。
「もう少し時間がかかると思いますが、もう少しこの女優の底力を見守って下さい」と言葉を寄せ、闘病と仕事の再開への意欲を見せたのです。
病気がわかったのは1997年…
2月に体の不調に気づき、3月には総胆管結石の手術を受け、その際、がんが見つかったといいます。
告知は7月…
山岡さんは医学書を読み、自分の病名については察していた様子で告知された際も動揺はなく冷静に受け止めました。
その後の経過も良好でしたが、降板から4カ月後の翌1999年2月14日、容体が急変…
15日午後10時2分、帝京大学溝口病院(川崎市)で親族や親しかった池内淳子さんや長山藍子さんに見守られ、72歳の生涯を閉じたのです。
山岡さんにとって降板は覚悟の上というのが妥当でしょう。
葬儀は「日本のお母さん」、「橋田ファミリーの看板女優」といわれた山岡さんだけに、盛大なものとなりました。
18日に遺影と棺を乗せた車がよく出演していた銀座の劇場を車で巡る葬送が行われ、沿道には1万人以上のファンが詰めかけたのです。
19日に告別式が営まれた築地本願寺には橋田さんや石井さん、藤岡琢也さん、ピン子さんなど渡鬼ファミリーら関係者が顔を揃えました。
信条は「自分の始末は自力で」…
最後まで気丈に振る舞い、この世を去った人物でもあったのです。
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