2001年10月1日に肝臓がんのために亡くなった落語家「3代目・古今亭志ん朝」さん。
若手の頃から東京で「落語若手四天王」と呼ばれ、実力派の落語家でもありました。
また、テレビドラマ「鬼平犯科帳シリーズ」や「必殺シリーズ」などにも出演し、俳優としても活躍していたのです。
そんな志ん朝さん、実は40代の頃に拳銃不法所持が発覚するという事件を起こしたことがありました。
名前:3代目・古今亭志ん朝(ここんていしんちょう)
本名:美濃部強次(みのべきょうじ)
生年月日:1938年3月10日~2001年10月1日(享年63歳)
職業:落語家
所属:落語協会
出身:東京都文京区本駒込
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この事件が発覚したのは1985年9月17日のことでした。
当時、銃刀法違反で逮捕されたフジテレビの小林俊一プロデューサーが、「知り合いの落語家から預かった」と自供した拳銃は、なんと古今亭志ん朝さん(当時47歳)の持ち物だったことが明らかになったのです。
問題の拳銃は32口径の回転式5連発で、れっきとした本物でした。
情報をつかんだ警察が東京・北区の小林プロデューサー宅を家宅捜索して発見、小林プロデューサーを銃刀法違反で現行犯逮捕しましたが、入手先を調べたところ、20年前(1965年)に志ん朝さんから手渡されたことがわかったのです。
銃刀法遼反(銃砲刀剣類所持等取締法)は銃刀法の何条違反かで違いはありますが、この時は時効が7年で成立していました。
志ん朝さんが実弾を発射したり、拳銃を売買した形跡はないので、事情聴取だけで済みましたが信じられないような事件だったのです。
志ん朝さんは東京・上野鈴本の高座からファンに事情説明とおわびをした後、客席に下りて、つめかけた報道陣に釈明の記者会見を開きました。
そうして、騒ぎの経緯をこう明らかにしたのです。
小林さんに迷惑をかけて大変申し訳ない。はっきり言ってあれは私が預けたものです。20年ほど前、夢というか憧れというか、拳銃やジャックナイフが好きだったんです。あの銃は知り合いから譲り受けて最初は嬉しくて興奮してたんです。そのうちスターがハワイから持ち込んだ拳銃が事件になったりして、僕も不安になってきた。そういう時に限って、うっかり落としたりするもんだから、早く処分したいと思ったが、自分ではなかなか捨てる勇気がなかった。小林さんは、僕をテレビの世界に引っぱってくれた人で、公私共に仲良くしてたので、相談したところ「それはまずいよ」と言われましてね。こんなことになるとは思わず、預けたわけです。それが何で今頃。小学校の頃の喧嘩した友達に、突然張り倒されたような気分で…
さらに質問は、「その拳銃を志ん朝さんがどこで入手したのか?」という話題になると、
警察では証言したが、ここで名前を言うのは勘弁してください。絶対に暴力団や同業者じゃありません。
とコメントしたのです。
志ん朝さんは「若気の至り」と平謝りしましたが、落語界はこの不始末に大きなショックを受けました。
何しろ、父親は5代目・古今亭志ん生さん、兄は10代目・金原亭馬生さん、さらに女優の池波志乃さんは姪で、俳優の中尾彬さんは義甥といったように、何不自由ない名門一家で生まれた志ん朝さんが起こした事件だったからです。
幸いにも時効の関係もあり、志ん朝さんは三鷹署で事情聴取されただけでその後は大きな問題には発展しませんでした。
9月29日には出演中の上野鈴本演芸場で、「ご迷惑をかけて申しわけない」と頭を下げたのです。
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