1979年3月16日の昼下がり、東京・溜池にあるレコード会社の一室で会議が開かれていました。
出席者は同社の制作部長、邦楽本部長、宣伝部長、チーフプロデューサー、プロダクションの役員、そして「伊藤咲子」さん(当時20歳)です。
名前:伊藤咲子(いとうさきこ)
本名:千葉咲子
生年月日:1958年4月2日(61歳)
職業:歌手
所属:ミュージック・オフィス合田
レーベル:日本コロムビア(2014年〜現在)
出身:東京都
学歴:堀越高等学校卒業
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伊藤さんは前年の1978年12月から芸能活動を休止していました。
彼女は事務所やレコード会社から”恋をとるか歌をとるか”を迫られていたのです。
結論が出るまで仕事を入れない、とまで言われていました。
それから3カ月、恋人と別れることを決断した伊藤さんがそのことをレコード会社に報告しに来たのでした。
長時間にわたる話し合いの末、歌手活動の再開が決まったのです。
恋人とは城みちるさん(当時21歳)…
2人とも「スター誕生!」出身です。
1973年12月「イルカにのった少年」でデビューした城さんに続いて、伊藤さんも1974年4月「ひまわり娘」でデビュー…
アイドルとして華々しいスタートを切っていました。
レコード会社も通う高校(堀越学園)も同じ…
一緒のステージに立つことも多く、10代半ば2人は互いに好意を持ち始めました。
伊藤さんは城さんのマンションに行って勉強を教えてもらったり、同居する姉の手料理をごちそうになったりしていました。
プラトニックな関係が大人の愛に変わるのは、城さんが1976年、突然芸能界を引退して駒沢大学に進んでからです。
城さんが引退したのは近い将来、広島の実家が営む電器店を継ぐことを決意したから…
あっさり芸能界を去る潔さに伊藤さんは惚れ直し、城さんと結婚したいと真剣に考えるようになったのです。
伊藤さんはだんだん仕事に身が入らなくなりました。
城さんのことばかり考えるようになったからです。
泊まりの地方公演を日帰りにするように要求したり、長期巡業を拒否して、周囲のヒンシュクを買ったのです。
少しでも長く城さんと一緒にいたいという女心でした。
そんな時に歌か恋かの選択を迫られたのです。
2月26日深夜馴染みの新宿の喫茶店で2人は話し合います。
いつも相談相手になってくれる店のマスターも同席する中、伊藤さんは涙をこぼしながら「やっぱり歌を捨てられない」と切り出しました。
悩み抜いた末の結論だったのです。
城さんは「サッコが歌を選ぶのなら、引き留めたりはしない。ボクの分までがんばって欲しい」とエールを送りました。
そして2人の恋は終わったのです。
その後、城さんは大学を中退し、家業を継ぎました。
25歳で結婚しましたが、すぐに離婚し、「風雲!たけし城」で芸能界復帰…
30代半ばで広島の地元タレントと再婚しています。
伊藤さんは31歳で飲食店経営の実業家と結婚…
夫が経営する会員制クラブのママに転身しますが、49歳で離婚しました。
その後は2010年に会社員と再婚し、芸能活動を続けています。
別々の人生を歩む伊藤さんと城さんが共演を果たしたのは2012年11月…
26年ぶりに復活した「レッツゴーヤング」のコンサートに一緒に登場したのです。
伊藤さんが「私たち付き合っていました」と笑顔で告白…
別れてから30年以上が経過していました。
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