“燃える闘魂”こと元プロレスラーの「アントニオ猪木」さん。
近年では政治家(参議院議員)としても知られていますよね。
そんな猪木さんはかつて、パラオに「イノキアイランド(猪木アイランド)」と呼ばれる無人島を贈られたことがあるのです。
名前:アントニオ猪木(アントニオいのき)
本名:猪木寛至(いのきかんじ)
生年月日:1943年2月20日(76歳)
職業:元プロレスラー、実業家、政治家
出身:神奈川県横浜市鶴見区
学歴:横浜市立寺尾中学校
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1980年にアントニオ猪木さんに贈られた島は、日本から約3千キロ南下したパラオ諸島の無人島でした。
長さ4キロメートル幅700メートルの島で、エメラルドグリーンの海と美しいサンゴ礁に囲まれており、海水浴に絶好のビーチもあります。
パラオ諸島観光の中心「パラオ松島」と呼ばれるロックアイランドの一部を形成するホットコーナーでもありました。
そもそも、なぜこの無人島が猪木さんに贈られることになったのか?…
理由は「猪木さんがパラオのヒーローだから」でした。
パラオは戦前、日本が委任統治領としていた頃、南洋庁も置かれて3万人近い日本人が暮らしていました。
当時、パラオ人は1万人程度という時代に、それだけ多くの日本人が住んでいたのです。
そのため日本とは馴染の深く、今でも高齢の方の中には日本語を話せる人も少なくありません。
さらに、ミクロネシアの中でもパラオ部族は戦闘的で、強い人間にあこがれる傾向にありました。
そこで1976年頃から、パラオでは日本のプロレスの番組が流されるようになり、これが大人気となったのです。
中でも最強の男・アントニオ猪木さんの人気は、スーパースター級でした。
これから日本との友好を深めるためにも、「日本のヒーロー・アントニオ猪木の安らぎの場として使ってもらいたい」と、当時パラオ諸島の半分を所有する大地主で、議会元老でもあったパーレス・セヘロンさん(当時65歳)が贈ったのです。
その時代のパラオは大小200余の島からなり、住民が住む島は約10島という状況でした。
1981年には自治政府の「パラオ共和国」を発足させ、憲法を発布する最中のことで、独立後は日本の経済的支援を期待していたという背景もあったのです。
そこで政財界に顔も広く、スーパーヒーローの猪木さんに何かしらのコネクションを持ちたいという政治的背景もありました。
そのような背景を知っていたかはわかりませんが、当時の猪木さんは、
島をいただけると聞いたのは3カ月。僕はまだ見てないが現地の人が「島は屋根のない病院」としてつかってくださいというくらい、自然の環境に恵まれた心身共に安まる土地のようだ。本当にありがたいと思っているんですよ
と喜びのコメントをしていたのです。
当時、大統領候補であったセヘロンさんを紹介されたのは、1978年頃の福岡県でのことでした。
1976年6月26日に行われた「アントニオ猪木対モハメド・アリ」を観戦していたセヘロンさんは、姪のエミーさんと共に試合を見るために何度も来日していたのです。
一方の猪木さんは年末から正月にかけて、家族やプロレス仲間など40名を引き連れてグアムやサイパンで過ごしていました。
そうして今度は願ってもないミクロネシアのベースが持てたことになるのです。
4、5メートルの浅瀬が続いているそうだし、娘(寛子ちゃん・当時5歳)は水泳が大好き。それに(当時の)女房(倍賞美津子さん・当時34歳)も南国が好きで、泳いでればごきげんな人だから、僕はたっぶりトレーニングもできるし、1石3鳥だよ
と語っていた猪木さん。
ほどなくして、この無人島を正式に「アントニオ・イノキドアイランド」と命名しました。
猪木さんは12歳まで横浜で暮らしていましたが生活は厳しく、13歳でブラジルに渡っています。
そこで大自然の中で手にマメを作りながら働き、過ごすことで自分なりの価値観を見つけました。
現在はそうした機会がないから、ボクらのような自然の中で育って強くなった者をヒーローと思うのだろう。1年先になるか、2年先になるか、このプランが軌道に乗ったら、子どもたちに貴重な体験になるはずだ。きっと素直に受けとめて大きな影響を感じとってくれることだろう
とも語り、イノキアイランドを観光地にせず、自然を生かした子どもたちの楽園を目指したのです。
錬成道場と育英施設作り、プロレスラーだけでなく、子どもたちに自然に親しむ環境を作って、体と精神を育てたいと考えていました。
さて、このイノキアイランドは、パラオ最大の都市コロール島までモーターボートで20分ほどで到着します。
首都マルキョクやロマン・トメトゥチェル国際空港のあるバベルダオブ島とコロール島とは橋で結ばれていて、意外とイノキアイランドは便利な場所にあるのです。
そして、コロール島とペリリュー島の間にあるロックアイランドは、2012年7月に世界遺産に登録されました。
そのためイノキアイランドも世界遺産エリアにあり、島は誰でも使うことができるようになっています。
もしパラオに行く機会があれば、イノキアイランドに寄られてみてはいかがでしょうか。
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