三浦友和さん・山口百恵さん宅に、ナイフを持った男が乱入して籠城(ろうじょう)する騒ぎが起きたのは1993年6月のことでした。
当時、専業主婦となり、一人自宅にいた百恵さん(当時34歳)は、まさに危機一発の状況だったのです。
名前:山口百恵(やまぐちももえ)
本名:三浦百惠(みうらももえ)
生年月日:1959年1月17日(60歳)
職業:歌手、女優
出生地:東京都渋谷区恵比寿
学歴:日出女子学園高等学校
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1993年6月22日午後3時頃、東京都国立市の三浦邸前にグリーンの三つ揃えスーツを着て、茶色のアタッシェケースを持った男がいました。
男は向かいの家の庭で洗濯物を干していた75歳の男性にも目撃されています。
一見、服装は派手でビジネスマン風に見える身のこなし…
隣人はてっきり「保険屋か何かかな?」と思ったと言います。
男はインターホンに向かい、「国税庁の者ですが」と名乗りました。
その日は三浦友和さんはロケ、子供2人は学校で、応対に玄関先に出たのは山口百恵さんでした。
百恵さんは男と向き合い、話を聞いたのです。
しかし、国税庁の役人としては様子がおかしい…
問い詰めると男は「ファンなんです。家の中に入れてください」と言い出し、押し問答になりました。
百恵さんはついに「出ていってください。警察を呼びますよ!」と言い、ドアを閉めようとします。
すると男は激情した様子で百恵さんに掴みかかり、彼女ごと押し込むようにドアをこじ開けて家に入ろうとしました。
百恵さんは「キャー、おじさん助けて」と向かいに住む老人に大声で助けを求めたのです。
悲鳴を聞いた老人がすぐに駆けつけました。
実は当時75歳のこの老人は小柄で高齢ながら、柔剣道の心得と軍隊経験のある頼りになる隣人だったのです。
老人は襟首(えりくび)を掴んで男を絞め上げ、男をドアの外に引きずり出しました。
また、すぐ後ろに近所の男性数人も続いて来ていたのです。
その間、百恵さんは家の中に逃れていました。
これで一件落着…
かと思ったら隙をついて男が逃げ、三浦邸の外階段からベランダに上り、2階の窓を叩き割って家に侵入したのです。
百恵さんはガラスの割れる物音を聞き、今度は家の外に逃げました。
老人の「消防署に逃げろ」という声に従い、彼女はサンダル姿で近所にある消防署の出張所に逃げ込み、保護を求めたのです。
百恵さんは揉み合いで額にコブと右手に擦り傷のケガを負っていました。
彼女が手当てを受けるうちに、消防署にも通報が入ります。
三浦邸に暴漢の逮捕に向かった警察官からの通報でした。
なんと男はアタッシェケースの中に隠し持っていた刃渡り25センチのナイフで自殺を図って夫婦の寝室で血まみれになったのです。
手首と首を切り、右首の傷は頸動脈に至る重傷…
命だけは何とか取りとめました。
終ってみると、犯人は51歳。
明確な犯行動機については明らかにならなかったのですが、この男は取り調べで「自分はエイズだ。あと僅かな命だ」と仕切りに叫んでいたと言います。
警察のエイズ検査では陰性だったものの、その思い込みで自棄(やけ)になって行われた凶行とみられました。
しかし、ファンの起こした単なる衝動的な事件とも言いきれない部分も…
と言うのも、男は傷害、殺人の共犯、強姦、逮捕監禁などで4回の収監歴があったのです。
ナイフを持っていた他、三浦宅に向かう途中でタクシーの中に置き忘れたものの、スタンガンまでも用意していました。
近所の助けもあり軽傷で済みましたが、一歩間違えたら最悪の結果になりかねない事件だったのです。
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