1980年代

長谷川一夫…妻・繁夫人を追うようにして同じ病院で亡くなる




 

当たり役だった東宝歌舞伎新春特別公演の舞台「大石内蔵助」や、映画「銭形平次 捕物控シリーズ」で人気を博した俳優の「長谷川一夫」さん。

日本映画界を代表する二枚目の時代劇スターとして活躍していた長谷川さんが亡くなったのは、1984年4月6日のことでした。

長谷川一夫

名前:長谷川一夫(はせがわかずお)
旧芸名:林長丸(はやしちょうまる)、林 長二郎(はやしちょうじろう)
生年月日:1908年2月27日~1984年4月6日(享年76歳)
職業:俳優
出身:京都府紀伊郡堀内村字六地蔵(現・宇治市六地蔵)




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1984年4月6日深夜、76才の役者人生の幕の下ろした「長谷川一夫」さん。
密葬は9日正午から、東京・港区西麻布の自宅でしめやかに行なわれました。

葬儀には、二代目・中村扇雀(四代目・坂田藤十郎)さんと扇千景さん夫妻、勝新太郎さんと中村玉緒さん夫妻、江戸家猫八さんらが訪れ、多くの芸能人が別れを惜しんだのです。

午後2時、生前、故人が愛用していた紋付の羽織と袴や藤間流の扇と帯、台本と共に遺体を収めた棺(ひつぎ)が霊柩車に運び込まれ、棺の上には愛した紫色のカトレアが添えられました。

そうして、喪主で長男の林成年(はやしなりとし)さんが、自宅前につめかけた約500人のファンに挨拶。

大きな大きな長谷川一夫は永眠致しました。皆様のアイドルだった長谷川一夫、生前の温かいお気持ちに心からお礼申し上げます。

と語ったのです。

ファンはほとんどが50代以上の女性で、午後1時にはすでに長蛇の列ができており、すすり泣きや嗚咽(おえつ)が閑静な住宅街に広がりました。
ファンにとって長谷川さんは永遠の二枚目であり、憧れのスターだったのです。

そんな長谷川さんが東京慈恵会医科大学附属病院に入院したのは前月、3月25日。
風邪をこじらせて発熱し、大事をとって入院したのでした。

その原因となったのは、2月17日に40年間連れ添った繁夫人を癌で亡くし、寒風の中を東京都台東区・谷中霊園での納骨式に出席したためと言われています。
繁夫人は旧姓・飯島繁さんと言い、新橋の名妓をしていた時に長谷川さんと知り合いました。

そんな繁夫人という恋女房を失った長谷川さんは、まるで生きるハリを失くしたかのように衰えていったと言います。

子供たちにも、

私の(葬式の)時は、京風にしてくれよ。

と密かに遺言していました。

長谷川さんの死因は、頭蓋骨内膿瘍(ずがいこつないのうよう)。
3月29日の夕方、「アイスクリームが食べたい」と箱入りのアイスクリームを食べ、「ああ、美味しい」と言ったのが最後のセリフとなリ、繁夫人と同じ病院で後を追うように亡くなりました。
最愛の妻を亡くしてから50日目の出来事だったのです。

棺は同日、東京都品川区・桐ヶ谷斎場で茶毘(だび)に付され、遺骨はしばらく自宅に安置された後、4月22日正午から青山葬儀所で葬儀・告別式が行われました。

戒名は「照林院澄誉演雅一道大居士」、墓は東京都墨田区の本法寺にあります。
没後、国民栄誉賞を受賞するも、享年76歳、これが元祖流し目スターの最期でした。




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