1960年代

中村錦之助(萬屋錦之助)と有馬稲子の離婚報道




 

愛称は萬錦(よろきん)。
歌舞伎役者の中村錦之助さん(当時32歳・後に萬屋錦之助に改名)と、有馬稲子(当時33歳)の二人が離婚会見を行ったのが1965年7月のことでした。

名前:萬屋錦之介(よろずやきんのすけ)
本名:小川錦一(おがわきんいち)
生年月日:1932年11月20日~1997年3月10日(享年64歳)
職業:歌舞伎役者、時代劇俳優
出身:京都府京都市中京区

 

名前:有馬稲子(ありまいねこ)
本名:中西盛子(なかにしみつこ)
生年月日:1932年4月3日(87歳)
職業:女優
所属:ホリプロ・ブッキング・エージェンシー
出身:大阪府豊能郡池田町(現・池田市)
学歴:大阪府立夕陽丘高等女学校



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1965年7月23日の午後5時30分、東映本社で中村錦之助さんと有馬稲子さんの離婚会見が行われていました。
不在の本人たちに代わり、大川博東映社長が声明文を読み上げ、会見は終了したのです。

当時、「てっきり離婚はないものと思っていたから耳を疑った」と記者から声が上がっていました。

周囲がなぜ離婚はありえないと信じ込んでいたかと言うと、2カ月前に夫事が離婚記事を載せた週刊誌を訴えたばかりだったからです。

4月7日号の女性週刊誌が「独占特報 中村錦之助・有馬稲子夫妻が離婚決意」という記事を掲載していました。

記事が出た直後、二人は揃って「スター千一夜」(フジテレビ系)に出演して事実無根と主張していたのです。

「ペンの暴力」(錦之助さん)、「デタラメ週刊誌」(有馬さん)と二人は憤っていました。
そして5月20日、夫妻は出版社と編集長を相手どって、東京地裁に名誉毀損による損害賠償請求訴訟を起こしました。

ここまで踏み込んだ以上、誰もが当面離婚はないと思うのも当然だったのですが、実は有馬さんと錦之助さんの母の嫁姑関係は、もはや修復が不能なほどこじれていたのです。

離婚会見の翌日、記者たちは舞台の稽古中だった有馬さんを直撃。
錦之助さんは伊豆のホテルに閉じこもり、マスコミをシャットアウトしていました。

「告訴はどうするのか?」の問いに有馬さんは決然と「取り下げません。その時点では事実無根だったんですから」と答えました。
その後、結局は訴えは取り下げるものの、錦之助さんはともかく有馬さんは記事にすごく怒っていたのです。

離婚について書かれたことだけが理由ではなく、有馬さんが一番怒っていたのは、記事を作るにあたって、自分の母・かねさんを引っ張り出してきたことでした。

記事の中でかねさんは、「今のままではあの子は死ぬか離婚かのどちらか」と語ったとされました。
大事な存在である母親をダシに使ったことに、有馬さんは許せなかったのです。

有馬さんが“ママ”と呼ぶかねさんは実母ではなく、父の姉でした。
社会主義者の父は官憲に追われ、各地を転々とし、子どものいないかねさんが有馬さんを養女として迎えたのです。

戦前は、かねさんと釜山の日本人街で暮らしました。
戦争が終わり日本に引き揚げると、1948年に宝塚音楽学校に入学したのです。

すでに再会を果たしていた実父は宝塚入りに大反対で、有馬さんはかねさんと一緒に別の親戚の家に逃げ込んだのです。
その間、家計を支えたのは日本舞踊の名取であるかねさんでした。

九州に出稽古に行くかねさんをなんとか楽にさせたいと、有馬さんは1951年に宝塚から借金をして兵庫県岡本に一軒家を建てたのです。
そこは二人の住まい兼、かねさんの稽古場となりました。

ずっと二人三脚でやってきたかねさんとの濃密な関係を週刊誌が壊そうとしているかのように有馬さんには映ったのです。

その後、錦之助さんは淡路恵子さんと再婚・離婚、甲にしきさんと再々婚し、1997年3月、咽頭がんのために亡くなりました。

一方、有馬さんは実業家と再婚するも14年後に離婚。
今も独身を貫いています。




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