1980年代

五社英雄(映画監督)はなぜ刺青を入れたのか?




 

1980年、フジテレビの花形プロデューサーが逮捕されました。
その人物こそ、この事件の当事者で、後に「巨匠」と呼ばれる存在になった「五社英雄」さんだったのです。
今回はそんな五社さんの知られざる一面に関するお話です。

名前:五社英雄(ごしゃひでお)
生年月日:1929年2月26日~1992年8月30日(享年63歳)
職業:映画監督、脚本家、演出家
出生地:東京府北豊島郡滝野川町大字西ヶ原(現・東京都北区西ヶ原)
学歴:明治大学商学部



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1980年7月2日夜、フジテレビ社員であった五社英雄さん(当時51歳)が、警視庁捜査4課と板橋署に銃刀法違反で逮捕されました。
別の恐喝未遂事件で逮捕された五社さんの友人が、「五社宅でピストルを見た」との証言から始まった捜査が原因でした。

五社さんの自宅からはコルト45口径、ホプキンスアレンの32口径とエアガン1丁が発見されます。
その朝、五社さんは同僚に「オモチャの拳銃を持っているが、警察が調べに来ている。問題になるのかなぁ」とこぼしていましたが、オモチャではなく実物でした。
晩のニュースで逮捕を知った同僚は驚愕したと言います。

五社さんは角刈りに着流(きなが)し、雪駄履きというヤクザ風のスタイルを好んだ人物でした。
拳銃の入手先については色々と臆測が飛びましたが、1丁は戦後の混乱期に五社さんの兄が入手したものだったのです。

残りの2丁は番組取材で渡米した際に自身が購入したものでした。
趣味の刀剣類のコレクションの延長だったと言います。

五社さんは予科練(海軍飛行予科練習生の旧略)を経て明治大学を卒業後、ニッポン放送に入社、1934年にフジテレビに移籍しました。

「トップ屋」(1960年~1961年)や「三匹の侍」(1963年~1965年)などの人気ドラマの演出を手がけ、その後は映画部長や報道部長などを務めると共に、映画版の「三匹の侍」(1964年)を皮切りに同社出資の映画「雲霧仁左心衛門」(1978年)も監督した初のテレビ出身の映画監督でもあったのです。

五社さんはこの件で罰金刑を受け、フジテレビは依願退職となりました。
職を追われた五社さんは新宿ゴールデン街に飲み屋を開く予定で店も借りましたが、東映の岡田茂社長(当時)から「死ぬ気になって映画を撮ってみないか?」と声がかかります。

そんな五社さんが再スタートのために出した企画が、映画「鬼龍院花子の生涯」(1982年)でした。
大竹しのぶさんの代役で抜擢された新進女優、夏目雅子さんの好演と、映画化にあたって加えられた「なめたらいかんぜよ」という夏目さんのセリフが受け、流行語にもなりました。
映画自体も11億円の配給収を上げ、大ヒットしたのです。

五社さんはその後も、「陽暉楼」(1983年)、「櫂」(1985年)、「極道の妻たち」(1986年)、「吉原炎上」(1987年)と大衆に支持されヒットを連発…
フジテレビ退社後に12作を監督しました。

そんな五社さんが一生を終えたのは1992年8月30日。
まだ63歳でした。
3年ほど前から患っていた食道がんと、併発した急性腎不全が原因だったのです。

訃報の際、背中一面に鬼と武者が対峙する「羅生門」の入れ墨があったと報じられました。
長女・五社巴さんの著書「さよならだけが人生さ」によると、父親の五社さんは54歳の頃、軽度のうつ状態になり、死の話ばかりする五社さんが、知人に「死にとらわれているのなら、死ぬ覚悟で彫り物をしたらどうか?」と勧められたからだと言います。

コワモテの風貌と豪快な遊びぶりでも知られたが、実は人一倍繊細な人でもあったのです。
五社さんの遺言で、大が掛かりな告別式や葬式は行われず、ごく少数の身内のみで川越市の東陽寺で通夜と密葬が執り行われました。




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