1960年代

ひょっこりひょうたん島(NHK)の打ち切りは政治的圧力だった?!





1960年代にNHK総合テレビで放送され、子供を中心に、国民的な人気を博していたミュージカル形式の人形劇…
「ひょっこりひょうたん島」を知らない人は少ないのではないでしょうか。
リアルタイムで見ていなくとも、有名な主題歌や特徴的なキャラクターなどを知っている人は多いはずです。

人形劇名:ひょっこりひょうたん島
放送期間:1964年4月6日~1969年4月4日
放送時間:平日17:45-18:00(NHK総合テレビ)
原作:井上ひさし、山元護久
演出:雪正一、武井博




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そんな「ひょっこりひょうたん島」は5年間…
実に1224回続き、大人気の中1969年4月で突然打ち切りなりました。

4月4日「ひょっこりひょうたん島」は最終回を迎えることとなるのですが、夕方5時45分からの15分番組という不利な時間帯にもかかわらず、最高視聴率37.5%を叩き出しました。
視聴者から「人気が衰えているわけでもないのに、なぜ終わってしまうのか?」という声が殺到したのは言うまでもありません。

実はこれには、生ぐさい政治的事情が絡んでいたのです。
問題となったのは前年の1968年に放送された国民全員が郵便局員という「ポストリア国」にひょうたん島が流れ着き、さまざまな騒動が起こるというシリーズでした。

「ひょっこりひょうたん島」は、笑いの中に大人がくすっとするよな風刺が込められているのが特長です。
このポストリア国で大統領を務めるのは郵便局長…
この大統領が泥棒で、盗まれた車を盗み返すシーンなどがありました。

視聴者には単なるギャグとしか思えないものだったのですが、これが郵便局や郵便局長を皮肉ったものと当時の大物政治家が問題にし、NHKに圧力をかけたのが打ち切りの内幕と言われているのです。

郵政省といえば、当時の自民党大票田である郵便事業を所管すると共に、電波行政も管轄し、そもそもNHKの直接の所管官庁でもありました。
このことは当時、放送作家でこの番組の原作者・脚本家の一人、井上ひさしさん(2010年に他界)も晩年、雑誌で郵便局長会や当時有力郵政族議員の打ち切りへの関与を認めています。

井上さんや当時のスタッフにとって、打ち切りになった理由は不可解でした。
後年、NHK上層部の人と接する機会があり、理由を聞いてやっと事情を知ったといいます。

この番組は、まだ29歳だった井上さんともう一人の放送作家、そしてNHKの若いディレクターの3人でスタートした企画です。
子供たちが遠足に行ったひょうたん島が火山の噴火で大海原に流され、そこにドン・ガバチョやトラヒゲといった個性的なキャラクターが現れ、共に波に流されるまま奇妙な国や島を訪ねるというストーリーです。

当初は視聴率が10%も行かず、「半年で打ち切りかもしれない」と苦戦するのですが、井上さんらの奇抜で独自の世界観のストーリーや作曲家・宇野誠一郎さんの多彩な楽曲が徐々に浸透して、人気に火がつきました。

声優陣は藤村有弘さんや熊倉一雄さん、中山千夏さん、楠トシエさんなど…
明るく歌いやすい主題歌や個性的な面持ちので、今の言葉でいうなら「キモカワイイ」人形たちの造形もヒットの要因だったようです。

番組終了を惜しむ声も根強く、この後NHKで1991年から2003年にかけて6回にわたり、リメーク放送されました。
後に作家・劇作家と活躍した井上さんが他界したこともあり、作品は未完のまま…
打ち切られなかったらどんな結末になっていたのか気になるところではあります。




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