1970年代

立川談志…政治家時代とヘベレケ会見




 

2011年11月21日に75歳で死去した落語家・「立川談志」さん…
また談志さんは、タレント議員として参議院議員を1期務めた政治家でもありました。

任期後半に沖縄開発庁政務官という要職に抜擢されたのですが…
二日酔い会見が原因で1カ月でクビという笑えないオチとなったのです。

名前:立川談志(たてかわだんし)
本名:松岡克由(まつおかかつよし)
生年月日:1936年1月2日~2011年11月21日(享年75歳)
職業:落語家、落語立川流家元
所属:落語協会(1952年〜1983年)、落語立川流(1983年〜2011年)
出身:東京府小石川区(現:東京都文京区)
学歴:東都高等学校(中退)



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1976年1月20日午前11時半、沖縄県那覇市の内閣府沖縄総合事務局で記者会見が始まろうとしていました。
前年暮れの12月26日に就任した政務次官が、沖縄国際海洋博覧会の閉会式に出席するため沖縄入り…
地元記者との初会見がセッティングされていたからです。

待ち構えている記者たちの前に現れた「副大臣」は、サングラスをかけ、酒のにおいがぷんぷん…
そして、なぜか記者団に最敬礼。
席上にコーヒーが用意されていましたが、職員に「水くれや」と氷水を持ってこさせ、2杯をガブガブ…
談志さんは、明らかに二日酔いだったのです。

このヘベレケ政務次官は当時40歳…
記者団は矢継ぎ早に、抱負や沖縄振興の具体案を問いただしましたが、話術こそ流暢ながらも、談志さんからは一般論を超える話は出てきません。

中には「冬も冷房車に冷房をかけているのに驚いた。これをアピールしたい。」などとトンチンカンな答えも…

記者の一人が談志さんに疑問を持ち、「果たして沖縄のことを勉強しているのか?」と沖縄の面積のうちの米軍基地の割合を質問しました。
これに対し、談志さんは「私は社会評論家として鳴らしたこともあるんだけど、この場合はコメントを避けたい」と逃げました。

怒った記者が「沖縄を語るのに基地問題は避けられない。それにそのサングラスは何のつもりだ!」と畳み掛けると、談志さんは「やめよう、こんな記者会見。気に入らなきゃ出ていってくれ!」と興奮気味に言い放ちます。

結局、会見は続行したものの、この二日酔い会見と傲慢発言は、談志さん自身と三木内閣の沖縄軽視とマスコミで大々的に報じられ、1月22日の参議院で沖縄選出の無所属議員がこの放言について質問しました。

ところが、その日の国会を欠席…
おまけに落語家として浅草演芸ホールの高座に上がっていたことも発覚します。

これでいよいよ政治家としての資質を疑う声と、談志さんの兼業を問題視する声が高まります。
談志さんもこたえたのか「落語を取るか、次官を取るか」悩んだ末、26日に自民党に離党届を出し、27日には次官辞職届を提出…
わずか1カ月のスピード辞任でした。

談志さんと政治の関わりは、落選した1969年の衆院選に立候補したのが最初…
当時は1968年の参院選で石原慎太郎さん、青島幸男さん、横山ノックさんら有名人候補が続々当選しました。

談志さんもタレント議員ブームに乗り、1971年の参院選に無所属で再挑戦し、全国区で最下位当選…
選挙戦を「落語で培った庶民感覚を活かしたい。政党のヒモ付きじゃ何もできない。」と無党派をアピールして戦いました。

しかし、1972年12月には一本釣りされ突然、自民党入りしています。

一時は再選への意欲を見せていましたが、1977年の参院選には不出馬…
型破りな落語家として名人の名を欲しいままにした談志さんですが、政治家向きではなかったようです。




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