1970年代

テレサ・テンのパスポート偽造事件の真相とは?

「時の流れに身をまかせ」や「別れの予感」などの名曲で知られる台湾出身の歌手…
テレサ·テンさんがこの世を去ったのは1995年(享年42歳)のことです。

名前:テレサ・テン
別名義:鄧麗君〈デン・リージュン)
生年月日:1953年1月29日~1995年5月8日(享年42歳)
職業:歌手
出身:中華民国(台湾)




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当時は「アジアの歌姫」とも称され、今も人々の記憶に残る歌手として人気は衰えませんが、スキャンダルを背負った不遇な一面も持ち合わせていました。

それこそ「テレサ・テンのパスポート偽造事件」です。
それは彼女が26歳の時…
日本に「偽造パスポート」で入国し、国外退去処分を受けた事件です。

1979年2月24日の昼すぎ、東京都港区の東京入国管理事務所前に報道陣が集まっていました。
偽造旅券(偽造パスポート)を使って入国したという不法入国の疑いで、同事務所内に収容され続けていたテレサ・テンさんが釈放されるからです。

東京入国管理事務所から現れた彼女の表情からは疲れは見えませんでした。
ただ、報道陣の偽造パスポートに関する質問には答えることはなく、友人のシンガポール人女性やレコード会社社員に囲まれて車に乗り込んだのです。

そのとき彼女に下った処分は、国外退去と1年間の日本入国禁止…
そのため行き先は成田空港で、テレサ・テンは追いかけてきた報道陣にお詫びのメッセージを書いたメモを渡し、足早にアメリカへと立ち去ったのです。

後にわかった事件の経緯はこうでした。
テレサさん釈放の7日前の2月17日…
新宿の東京ヒルトンホテルに宿泊中の彼女の元に、東京入国管理事務所の係員が訪れました。

入国管理事務所は在日インドネシア大使館から「中国系の女性がインドネシア人『テング・エリー』名義の偽造パスポートで日本に入国する可能性がある」という緊急通報を受けていたのです。
その「テング・エリー」こそ、14日に香港から羽田空港に到着、日本に入国したばかりのテレサさんでした。

彼女は取り調べには素直に応じ、入国の際に使ったパスポートが不正に作成されたものであることを認め、パスポートはインドネシアで彼女のファンから2万香港ドル(約80万円)で買ったものだと証言したのです。
偽造といってもインドネシア政府発行パスポートで、全くの偽物ではなく、現地の役人を巻き込んで不正発給されたものでした。

しかし彼女は当時、正式な母国・台湾のパスポートも持っていたのです。
では、なぜテレサさんは、わざわざインドネシアに偽造パスポートで入国したのか?…

その理由は当時の日本と中国の関係にありまりました。
実は事件の7年前の1972年9月に日中共同声明で、日本政府は中国本土の「中華人民共和国」を「中国の唯一の合法政府」と承認したのです。
これに伴って台湾の「中華民国」とは国交断絶になります。
台湾国内の日本大使館も閉鎖…
そのため日本に来るためのビザを取るのに1~2カ月かかるようになったといいます。

彼女は「台湾の立場が今のようになってから諸外国への出入りが不便になってしまった」とも供述しており、この不便さが台湾や日本だけでなく、中国大陸、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、北朝鮮などでも活躍していたテレサさんにとって、大きな障害となったようなのです。
また当時、テレサさんだけではなく、台湾の芸能人はこんな事情からインドネシアのパスポートを持つ人も少なくなかったといいます。

テレサは14歳で台湾で歌手としてデビューし、1974年からは日本でも歌手活動を開始しました。
また、その年の日本レコード大賞で新人賞を受賞し、アグネス・チャンや欧陽菲菲らと共に外国人アイドルとして人気を集めました。

しかし、この事件で日本でのテレビ出演などはストップ…
再来日して活動を再開するのは5年後の1984年でした。
そして、そのときにリリースした曲こそ、作詞・荒木とよひさ、作曲・三木たかしの大ヒット曲「つぐない」だったのです。

もちろん、この「つぐない」は愛の「つぐない」であり、偽造パスポートの件とは関係ありません…
しかし、どうしても何か深い意味があるのでは?と勘繰ってしまうのは私だけでしょうか。




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